【完】狂犬チワワ的彼氏
龍也と妃由
「…フラれた」
「え、」
ある日の午前中。
家でゴロゴロしていたら、あたしはいきなり芽衣に近くの喫茶店に呼び出され、来てみたらまず一言目にそう言われた。
その言葉を聞いただけでも、一方のあたしには何のことかがすぐにわかって。
意外な結果に、目を見開いた。
…フラれた、って…。
直樹、芽衣をフッちゃったの!?
「ッ、何で!?」
そして思わずあたしがそう言って目の前のテーブルを両手で叩くと、少ししょんぼりした様子の芽衣が言う。
「…加藤くんね、他に好きなコがいるんだってさ。一緒にいるのがあたしじゃダメみたい」
「そんな…」
芽衣はそう言うと、注文したオレンジジュースをストローでずずず…と飲み干す。
…いや、いやいやいや。
好きなコ?
ちょっと待ってよ。
あたし、直樹の親友だけど…
好きなコがいるなんて、
そんなの一言も聞いたことないよ!?