【完】狂犬チワワ的彼氏
……ワケがわからない、直樹クン。
あんなに芽衣と仲良さげにしてたのに。
そう思ってどうしても納得がいかないあたしは、少し考え込むと目の前の芽衣に言った。
「…好きなコがいる、とか…あたしは聞いたことないけどな。アイツ、嘘吐いてんじゃないの?芽衣が可哀想」
「!」
「っ…ねぇ、あたし、直樹と話して来てあげようか?こんなの納得いかないよ!」
あたしはそう言うと、鞄を持って椅子から立ち上がる。
でも…
「い、いいのいいの!妃由、加藤くんのことは責めないであげて、」
「だけど…!」
「フラれた理由は、ちゃんと納得してるから」
芽衣はそう言って、切ない笑顔で笑った。
……まぁ、芽衣がそう言うならいいけど。
あたしはそんな芽衣の言葉を聞くと、またその椅子に黙って座る。
すると…
「……ねぇ、妃由」
「うん?」
少しだけ沈黙が流れたあと、ふいにそれを破るように芽衣が口を開いて言った。
「妃由は……
加藤くんのこと、親友としてどう思ってる?」