【完】狂犬チワワ的彼氏


拓海 side



あー、ムカつく。すげームカつく。


あれから妃由と一方的に別れて、そのまま本当に家に帰った俺は、リビングに入るなりずっと独りでテレビゲームをしていた。

苛立ちをぶつけるようにしてアクションゲームをしていたら、勝っていくうちに少しは怒りがおさまってきて。


…全部、アイツのせいだ。龍也。

っつか、妃由も少しはよく考えて行動しろよな。


そう思いながら尚もカチカチとゲームを続けていたら、その時「ただいま」と龍也が帰ってきた。



「…おかえり」



そしてそんな龍也に俺は背中越しにそう言うと、テレビ画面をじっと見つめる。

…毎回どこに行ってるのか知らないけど、こいつってそんなに友達いないだろ。


俺がそう思っていたら、ふと龍也が言った。



「拓海さん」

「…なに」

「お話があります。妃由さんのことで」

「…?」



そんな言葉に俺はゲームをしながら耳を傾けると、龍也が言葉を続けて言う。



「…俺、


妃由さんが欲しいです。



妃由さんを俺に譲って下さい」


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