【完】狂犬チワワ的彼氏
智輝と妃由
妃由 side
「ん、終わったぞ」
「ありがと~!」
ある日の午後。
直樹が、ふいにあたしの夏休みの宿題を手にそう言った。
実は、宿題が全然終わっていなかったあたしは、今日直樹にやってもらうために家に来ていたのだ。
あたしが満面の笑みで宿題を鞄に片付けると、直樹がどこか不満そうに言う。
「…っつかさ、アレじゃね?」
「?」
「なんか不憫じゃね?俺。頑張って妃由の宿題やったのに、何も無いとか」
そう言って、ジロ、とあたしに目を遣る直樹。
…そっか。
言われてみれば、そうかもね。
そう思って、
「じゃあ代わりに、直樹がなかなかクリア出来ないゲーム、あたしがクリアしてあげる!」
あたしはそう言って、早速直樹のゲームソフトに手を伸ばした。
でも…