【完】狂犬チワワ的彼氏
でも、
「だけど、あたしは拓海くんの事だけが本当に好きなの。これは信じて?」
そう言うと、電話越しに照れ笑いを浮かべる。
今日だって、久々に逢って話せて幸せだったんだから。
ってか、どこが好きかなんてそんなのどうでもいいじゃない!
好きなものは好き!これが正解だし。
「他の人じゃ、ダメなんだ」
そしてあたしが言葉を続けてそう言うと、その時龍也くんが言った。
『…そんなんじゃ、すぐ心変わりするぞ』
「え、」
『わかんないんじゃー仕方ないけど、妃由がそんなんだったら俺でもいいかもって思うじゃん』
「!」
『俺は…お前がいくら拓海を好きだろうと、そんなの関係ないって、思ってる』
龍也くんは、言葉を確かめるようにゆっくりそう言うと、
『…いつか絶対、振り向かせるから』
最後にそう言って、一方的に電話を切った。
「ちょ、龍也く…!!」
… … …
…切れたしよ。
けどその瞬間、心の奥で…重たいモヤモヤとしたものが、あたしの中で生まれてしまう。
それは、不安?哀しさ?わからないけど…待ち受け画面に戻った携帯を眺めながら、あたしは深くため息を吐いた。
何で……答えが出てこないの、