【完】狂犬チワワ的彼氏
拓海 side
「ありがとうございましたー」
妃由とカフェで別れたあと、俺は薬局に寄ってから家に帰った。
買ったのは、電話で智輝に頼まれた“冷やすもの”。
何が起こったのか知らないけど、さっき電話で智輝から、
“女に殴られた。何か冷やすもの買ってこい”
と言われ、めんどくさいながらも薬局に寄って…今に至る。
でも別に、智輝が女に殴られるなんて珍しいことじゃないし、むしろ「またか」って感じ。
俺は見慣れた帰り道を辿ると、ようやく見えて来た家に近づいた。
でも、
「…?」
その時、玄関のドアにある郵便受けに、一通の手紙が入っているのが目に飛び込んできた。
…何だこれ。
そう思って見てみると、あて先は「木塚拓海」って俺の名前になってるけれど…差出人は書いてない。
薄いピンクの封筒だから、たぶん女だろう。めんどくせー。
俺はそう思いつつも、一応その手紙を持って家の中に入った。
しかし…これから先、
また新たな試練が、
俺と妃由の目の前に待ち構えているとは知らずに…。