【完】狂犬チワワ的彼氏
その事に俺がびっくりしてそう聞いたら、智輝は不機嫌そうに目を細めて言う。
「そーだよ、わりーかよ。せっかく助けてやったのに、何だあの態度」
「!」
「すっげ最悪だな。拓海、やっぱ彼女は性格で選んだ方が良いぞ」
あの女の良いところは顔だけだ。
智輝は半ば怒りながらそう言うと、ソファーから立ち上がってキッチンに向かう。
…助けてやった、って…?
智輝の言葉に聞きたいことはたくさんあるけど、今の俺はとにかく“智輝が妃由に殴られた”っていう事実に驚いていて。
だって…妃由は俺の顔が好きだって言っていたのに、それは意外すぎる。
もしかして、智輝が妃由に手を出したのか?
そう思って、また智輝にそれを聞こうとしたら、それを遮るように智輝が言った。
「っつか拓海、お前それ何だよ」
「…え?」
「そのピンクの封筒。……あ、もしかして女か!?」
智輝は俺がさっき郵便受けから出したその封筒を見てそう言うと、「見せろ!」と言わんばかりに俺のそばに駆け寄ってくる。
俺はそんな智輝から封筒を遠ざけようとしたけれど…
……まぁいいか。
どーせ捨てるつもりだったし。