【完】狂犬チワワ的彼氏
俺はそう思うと、その封筒を智輝に差し出して言った。
「…やる」
「マジで!?拓海、お前悪い男だな」
「…」
お前に言われたくない。
けど、俺はそれを口には出さずに、さっきまで智輝が座っていたソファーに座る。
そして智輝はその封筒を龍也に渡すと、言った。
「お前開けて」
「え、」
「俺、今右手がふさがってるから」
「…」
そう言って、半ば強引に龍也にそれを押し付ける。
…龍也に読ませる気か。
俺はそう思うと止めようかと思ったけど、めんどくさくてソファーから動く気がない。
すると、そのうちにそれを知らない龍也がその封筒を開けて…
「…“大好きです。”」
「……」
中に入っていた便箋を見ながら、一言そう読んだ。
「…続きは?」
そんな龍也の言葉に、智輝がそう言うけれど…龍也が便箋を俺らに向けて言う。
「以上です。差出人すら書かれてありません」
「…不気味だな」
そう言われて見せられた便箋には、赤くて太めの水性ペンで大きくその言葉が書かれてあった。
便箋は、ピンクのハートがたくさん描かれてあるデザインで…。
「…龍也。それ、捨てとけ」