【完】狂犬チワワ的彼氏
でも、拓海くんはあたしのその言葉を気にせずに、
「だーいじょうぶだって。っつか、こっちの方が断然ラクじゃんか」
そう言って自転車を降りると、あたしに近づいてくる。
いや、だって、二人乗りってコワイじゃん?
何か落ちそうな気がするじゃん?
そう思ってドキドキ(ビクビク?)していたら、拓海くんはあたしの目の前までやって来て…言った。
「…お前、変なとこ真面目だよな」
「!、そ、そんなことない!拓海くんが気にしなさすぎなだけで、」
「ふーん?先生に怒られるとか言って、妃由、普段は超校則違反なメイクをばっちりしてきてるクセに?」
「!!」
拓海くんは悪戯にそう言うと、可笑しそうに笑ってあたしの頬を軽くつねる。
…い、痛い。
「そ、それは……拓海くんに、少しでも可愛いあたしを見せるためだし…仕方ない、じゃん」
「!」
そしてあたしは消え入りそうな声でそう言うと、恥ずかしさに思わず拓海くんから目を逸らす。
…わ、自分で言っといて何だけど、今すっごく恥ずかしい!
穴があったら入りたい!ってか消えたい!
でも、そう思っていると…
「……ばーか。十分だろ、」
「…え、」
そのままで。
拓海くんは呟くようにそう言うと…
次の瞬間、ビックリして固まるあたしに、
キスをした。