【完】狂犬チワワ的彼氏
ストーカー
“木塚拓海くんへ
大好きです。ずっと見ています”
「……」
ある日の夜。
そんな気味の悪い手紙に目を通して、俺はそれをすぐに細かく破ってリビングのゴミ箱に捨てた。
ピンク色の封筒に入っていたのは、さっきのそんな言葉が書かれた便箋と、いつかの俺を写した一枚の写真。
前は週一だったこの手紙も、最近じゃほぼ毎日郵便受けに入っているようになった。
俺がそれを捨ててため息交じりにソファーに腰かけると、同じリビングで本を読んでいた龍也が、ふと顔を上げて俺に問いかける。
「…学校を変えても、意味はありませんでしたか?」
「いくらかマシだよ。やっぱ犯人は、俺の学校に通う奴等の誰かだな」
俺はそう言うと、「やっぱしばらくは龍也の学校に行く」と呟いた。
智輝の学校には、なるべく行きたくない。
何故なら、派手な女が勝手にうじゃうじゃ寄ってくるから。
だけど俺がそう決めると、龍也が言葉を続けて言った。
「妃由さんには、会わなくてもいいんですか?」