【完】狂犬チワワ的彼氏
俺がそう問いかけたら、妃由は少し目をぱちくりさせて答える。
「え?うん、仲良いよ。理沙ちゃんがね、あたしと友達になりたいって、そう言ってくれて。
あたしも女のコの友達が欲しかったから、すぐに仲良くなったの」
そう言って、妃由は俺の気も知らないで嬉しそうに笑う。
…その笑顔は、凄く可愛いけど。
それでも心の中にある複雑な気持ちや嫌な予感は消えてくれなくて、
俺は少しの間を置くと、言いづらいながらも妃由に言った。
「………あのさ、」
「うん?」
「日向とは、仲良くすんなよ」
「………え」
俺がそう言うと、ついさっきまで笑顔を浮かべていた妃由が、一瞬にして固まってしまう。
…いや、妃由の気持ちを思うと、俺はいま最低なことを言っているのは百も承知だ。
だってこんなことを言うのは初めてじゃないし、またこれのせいで妃由の機嫌を損ねてしまうのはもちろん予想も出来ているから。
でも……それでも俺はまた口を開くと、言葉を続けた。
「…突然こんなこと言って、ごめんな。けど俺、アイツには近づかない方がいいと思うんだよ」
「……、」
そしてそう言っているうちに、少しずつ妃由は顔をうつ向かせていく。
あー、なかなか妃由にわかってもらえるように上手く言えない。
そう思って俺が言葉を選びながら話していたら、やがて妃由がゆっくり口を開いて言った。
「…なんで……仲良くしちゃいけないの?」