【完】狂犬チワワ的彼氏
思い通りにいかない現実に、
俺は深くため息を吐いてその辺の椅子に腰かける。
追いかけた方がいいんだろうけど、でも…
今追いかけたってきっと同じことを繰り返してしまう。
…ストーカーに遭ってるって、それを言う以外で上手く伝えられる方法はないのかな。
どうしたらアイツはわかってくれんだよ。
そして、そう思って考え込む俺の後ろ姿を…
「…やっと、この時がきたわ。
愛してるよ、拓海くん」
影でこっそり日向に見られていたことを、俺は気づかない。
日向は独り怪しげにほほ笑むと、
少しずつ、俺の背中に近づいた───…。