【完】狂犬チワワ的彼氏
…龍也くん、鋭いな。
あたしはその言葉にビックリしつつも、えいとを眺めながら答えた。
「……拓海くんと喧嘩したの」
「!」
「拓海くんね、何でか知らないけど、あたしに理沙ちゃんと仲良くしてほしくないんだって。
それ聞いたら、怒らずにいられなくて。龍也くんの時もそうだったから、いい加減にしてよって」
あたしはそこまで龍也くんに話すと、その時のことを思い出して、深くため息を吐く。
…でももちろん、だからといってこのままでいいわけがない。
拓海くんと仲直りがしたいのは凄く思うけれど…あたしからは謝れないし。
それでも何か、「このまま謝れずに自然消滅したらどうしよう…」とか、情けなく不安になってしまう。
あー、拓海くん。
しかしあたしがそう思って、二度目のため息を吐きかけた時…龍也くんがそれを遮るように言った。
「それで怒るなんて、妃由さんは優しいんですね」
「え?いや、だって、理沙ちゃんも龍也くんも、あたしにとっては大事な友達だもん!そりゃあ怒るよ、」
そしてその言葉にあたしが少し熱くなってそう言うと、また龍也くんが言う。
「……“友達”、ですか」