【完】狂犬チワワ的彼氏
と、呟くようにそう言って、あたしを見遣った。
…ん?何で?
何か龍也くんが、納得のいかないような顔であたしを見るから。
あたしはその視線から目を逸らすと、またえいとを見つめて言う。
「だって、そうでしょ。実際は。あたし、龍也くんの一番の友達になるって約束したじゃん?だから、龍也くんのことも友達として大好きだよ」
「!」
「あ、もしかして龍也くん、あたしが友達だったら嫌なの?別にいいよーだ、龍也くんが思ってなくても、あたしは勝手に友達だと思ってるから」
そしてあたしはそう言うと、軽く「べー」って舌を出してそっぽを向く。
だって龍也くんは実際良い人だし。
何よりこんな小さな猫に、こんなふうに接してる男子高校生なんてそんないなさそうだから。
拓海くんとはまた違った、優しさがあるんだ。
しかし、あたしがそっぽを向いたままそう思っていると…
「…ほんと、ずるいですね。妃由さんは」
「え、」
龍也くんは突如呟くようにそう言って…振り向きざまに、
あたしにキスをした。
「んっ…!?」