【完】狂犬チワワ的彼氏
なんだか最近ようやくそういうことがわかってきたあたしは、
そんな拓海くんの顔を覗きこむようにして、そう言った。
だってだって…それって、その様子って明らかに“ヤキモチ”ってやつだよね?
あたしがそう思ってそう聞くと、拓海くんは突如顔を赤くして…
「う、うるせーよ!!」
そう言って、スタスタとあたしより先に歩き出す。
…わ、妬いてる。完全に、妬いてる。
そんな拓海くんを見てあたしはそう思うと、独り嬉しくてクスクスと笑った。
すると…
「おい、遅ぇんだよ!早く歩けブス!!」
ふいに、クル、とあたしの方を向いて、拓海くんがまた“狂犬”になる。
「…」
あぁ…何でだろう。
いったい拓海くんの何が、そうさせるんだろうか。
だけど、それでもあたしは…
「ちょっと待ってよ、拓海くんっ」
「!」
そんな拓海くんも全部愛しくて、さり気なく、その手を繋いだ。
あたしが好きなのは、拓海くんだけ。
あたしだけの、特別な…
狂犬チワワ的彼氏。
『狂犬チワワ的彼氏』
─完─