【完】狂犬チワワ的彼氏
【おまけ②】



雨の日の日曜日。

今日は拓海くんの家で、二人きりで過ごす約束をしている日。

所謂お家デートってやつだ。

それなのにようやくそこに到着した時、彼は何故か居なかった。


「…拓海なら今留守だけど」

「えっ」


そう言って玄関に出迎えたのは、智輝くん。

ふあ、と欠伸をして見せる。

今まで寝ていたんだろうか。

物凄く眠そうな目を、している。


っていうか拓海くん、せっかく約束をしていたのにいないなんて話が違う。

「今度の日曜日俺ん家来て」なんて自分から言ってたくせに。

…楽しみにしてた、のに。


「…拓海くんどこ行くって?」

「さあ?聞いてない」


あたしはそう思って拓海くんの居場所を知ろうとするけれど、拓海くんは言わないまま出て行ったらしい。

…電話してみようかな。せっかく雨の中来たのに。

そう思ってスマホを取り出そうとしたら、智輝くんが言った。


「…中で待ってれば?」

「え…いいの!?」

「いいも何も、せっかく来たんだし。約束してんなら拓海もすぐ来るだろ」
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