【完】狂犬チワワ的彼氏
だけどあたしがその言葉に頷くと、今度は木塚くんに目を遣って言う。
「それから、拓海」
「?」
「龍也(リュウヤ)と智輝(トモキ)。
あの二人にも、たまには来いって伝えといて」
そう言うと、「よろしく」って言葉を付け加える。
…でも、それを横で聞いたあたしは、初めて聞くその名前に全くピンと来なくて。
リュウヤとトモキ?
…誰、それ。
そう思って首を傾げていたら、次の瞬間木塚くんが心なしか目を泳がせて言った。
「えっ……あ、あぁ。わかった…よ、うん」
そう言って、すぐに美容院に背を向けてその場を後にする。
「あ、待ってよー!」
「…」
その背中を見て、あたしは慌てて木塚くんを追いかける。
そして…
「ね、ねぇ木塚くん!さっきの…」
リュウヤとトモキって、誰なの?
しかし、そう聞こうとしたら…
「お前は、知らない方がいい」
「!」