【完】狂犬チワワ的彼氏
そう言って、ゲーム機の画面に目を遣る。
…え、
「…わかれる?」
「そう。そんな不安なら別れちゃえば?そしたらラクんなるよ」
「!」
直樹はそう言うと、今度はわざとらしく笑った。
…って、
「ヤだよ!別れるわけないじゃん!ってか、絶対別れないから!」
「ハイハイ」
「…~っ、」
だけど、あたしがそう言っても直樹はさっさと先にゲームを始めてしまう。
…あ、対戦しようって言ったのに。
でもあたしはそんな直樹に構わずに、電源を入れたままのゲーム機をテーブルの上に置くと、言った。
「…ねぇ、真剣に聞いて」
「?」
「木塚くん、付き合う前は正直あんなに口が悪くて…性格が悪い人だとは思わなかったの。
それに、あたしのこと…キモイとかブスとか、そんなこと言ってばっかだし。
ちょっと気に食わないことがあるとすぐ怒るし…(まぁそれでも好きなんだけど)」
なんで、付き合ってる彼女にそういうこと言うのかな?
しかし、あたしが言葉を続けてそう聞こうとしたら…それを遮るように直樹が言った。
「…チョット待テ」
「え、」
「それ、ほんとの話?」
そう言って、ゲーム機を両手に持ったまま顔を上げてあたしを見る。
その問いかけに、あたしは…
「もちろん、嘘なんて吐かないよ」