【完】狂犬チワワ的彼氏
秘密の真相─木塚拓海 side─
「木塚くんって、もしかして双子?」
妃由にそう聞かれた瞬間、俺は一瞬時が止まったような錯覚に襲われた。
…だってまさか、コイツがこんな早くにそんなことに気がつくとは思ってもみなかったから。
俺は少しだけ固まると、やがて声を必死に落ち着かせて言った。
「…は?何言ってんの、お前」
「!」
「バカじゃね?……切るぞ、」
そう言って、一方的に電話を切る。
…アイツのことは、ただのバカだとしか思っていなかったのに。
バカにしすぎていたかもしんない。
…っつか、もしかして途中で矛盾が生じたのか?
俺はそう思うと、やるせない気分でベッドの上に寝転んだ。
…でも、アイツの言っていたことは、当たっているわけじゃない。
むしろハズレてる。
だって俺は双子じゃなくて、
三つ子だから。