【完】狂犬チワワ的彼氏
そもそも俺たち三つ子は一卵性で、三人とも見た目が全て同じだ。
だから三人が別々の学校に通って、でも実はたまに兄弟になりすまして別の学校に通ったりもしている。
三つ子はいろいろと楽しい。
だって見た目が同じだから兄貴になりすましてもバレないし、他の学校で授業を受けるのもスリルがあってオモシロイ。
…そうやって、妃由とも実は三人で代わり万古で付き合っていたのに。
こうなったらもう、完全にバレてしまうのも時間の問題かもしれないな。
俺はそう思うと、独り深くため息を吐いた。
「はぁー…」
……だから、俺は反対だったんだ。
そんなことをして妃由と付き合うのもめんどくさいって。
妃由に告白をされた時点ではこの俺、拓海が“ぜってぇ嫌だ”と思って断ったのに。
家に帰ってそれを長男である“木塚智輝”に言ったら、智輝が俺に言ったのだ。
『バカかお前!なんで断るんだよ付き合えよ!』
『は?何で。やだよめんどくさい、』
『あ、わかった!じゃあローテーションしようぜ!』
『…は?』
『その妃由ちゃんってコ、内緒でまた俺たちが三人で代わり万古で付き合えばいいじゃん。
ちょうど最近暇してたし、お前やっぱ俺と付き合えってその子に言って来いよ』
智輝はそう言うと、「な?決まり!」って嬉しそうな顔をする。
智輝は俺たちの中でも一番の遊び人で、普段からいろんな女の子と複数同時に付き合っては遊んでいる。
俺は女子が嫌いだったから、妃由と付き合うのもごめんだったけど…。
それを俺が断ると、智輝が今度は次男の“木塚龍也”に言った。
『じゃあ龍也。お前が妃由ちゃんを俺達の彼女にしてきて』