【完】狂犬チワワ的彼氏
ちょっとくらい、真剣に考えてくれたっていいじゃんかケチ。
あたしはそう思うと、独り頬を膨らませてその水着を元にあった場所に戻した。
「…あたしって女の子らしくて可愛い顔してるから、
やっぱピンクが似合うよね?直樹クン」
「そうだねぇ」
…そしてあたしがそう言っても、適当な返事をするだけ。
それでもその後、しばらく悩むとあたしはやっと水着を選んだ。
…………
「え、双子?木塚が?」
「うん!」
水着を買った後は、喫茶店で直樹と二人でケーキを食べた。
チーズケーキを食べている時にあたしが“木塚くんの双子説”のことを言うと、
直樹は疑うような目であたしを見る。
「…そんな話、聞いたことないぞ 」
「でも、」
「勘違いだろ、それ。絶対、」
そう言うと、注文したオレンジジュースを飲む。
…けど、この反応はまだ想定内だ。
この話を言って、「あ、そうなん だ!へぇ~」って素直に信じ込む人はいない。
「いや、まだあたしも確信したわけじゃないけどさ、」
「だったら、違うっしょ」