【完】狂犬チワワ的彼氏
そして俺は、そんな智輝さんにすぐに頭を下げて言う。
「申し訳ありません」
「!」
「海には、妃由さんと二人で行こうとしたのですが…それを拓海さんに邪魔をされてしまいました」
「…は、」
「拓海さんはやはり妃由さんに本気で惚れておられるようなので、俺達はもう妃由さんと二人で逢えないそうです」
そう言ってまた俺は、「申し訳ありません」と智輝さんに向かって頭を下げる。
でも一方、話がよく掴めていないらしい智輝さんは…
「…え、ちょっと待て。
何それ、いきなりどーしたワケ?」
頭の上に?を浮かべて俺にそう聞くのを見ると、俺はさっきの駅でのことを全て智輝さんに話し出した。
「実は、先ほど―――…」
…………
そして全てを話し終えると、智輝さんはため息交じりに言った。
「…はぁ?何だよソレ」
「…」
「あーあ。せっかく新しい彼女が出来たと思ったのになー」
智輝さんは不機嫌そうにそう言うと、ソファーの横に立つ俺をギロリと睨む。
「…すみません」