domino

　錯乱していて訳がわからなくなっているのだろうか。一人暮らしの部屋の中で誰かの声が確かに聞こえた。　慌てて周りを見回したが誰もいなかった。何度も何度も部屋を見回してみた。でも、誰もいなかった。でも、僕は確かに誰かの声を聞いた。何故かわからないけど、そう確信していた。
　その確信が僕に安堵の気持ちをくれた。
　「そうだ。彼女が僕の顔を覚えているはずがない。」
そう思うとさっきまでの後悔は何だったのだろうと言うくらいに、すがすがしい気持ちで僕は床に就いた。