domino
 この車内アナウンスを聞いたとき、僕は顔面が蒼白になっていた。そして、「もう一度あの声が聞こえてほしい。」そう願っていた。
 電車が駅のホームに入ると彼女の姿が見えた。たぶん、よく着ているから、きっとお気に入りなのだろう薄いピンクのジャケットを着ていた。
 いつもならそのジャケットを着ている彼女が天使に見えていたものだが、今この時ばかりは、その彼女の眩しさが疎ましかった。
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