domino
33
 真っ赤な世界の中で、真っ黒な顔がゆがんでいた。“ムンクの叫び”のようになったかと思えば、どれが目でどれが口かわからないくらいに小さくなったりしていた。ただ、とても苦しそうな表情でも何も聞こえなかった。沈黙の中で顔がゆがんでいるだけだった。
 いや、一つだけ聞こえるものがあった。あの声。
< 154 / 272 >

この作品をシェア

pagetop