domino
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入院から3日が経ち、彼女の表情にも疲れが見えていた。初めてのデートの帰りに僕がこんな事になればそれも当然の事だろう。まだ、付き合ったとは言えないくらい短い時間しか一緒にいないのに、彼女は献身的に僕の事を看てくれた。そんな彼女に感謝しつつも、もう来てほしくなかった。
感謝の気持ちどころか何も彼女に伝えられない、そんな僕をこれ以上見てほしくなかったからだ。
手が、足が、指さえも動かない。そんな状況の中、自分の体が急に変化し始めた。それはたぶん、僕にしかわからない変化なんだろう。彼女も医者も気づいている様子はなかった。僕の中心に種が植えられ、そこから根が生えていくような、そしてその根がどんどんと拡がっていくような、そんな感じがした。
その根は僕の体を動かそうとしているのがわかった。
まず、指が動くようになり、それから右手が動くようになった。左手、足、声も出るようになった。初めて発した言葉は彼女への感謝の気持ちだった。
そして、入院から1週間目、あれはいったい何だったんだろうと思えるほど、僕の体は元に戻っていった。
彼女は涙ぐみ、そして僕を抱きしめてくれた。
感謝の気持ちどころか何も彼女に伝えられない、そんな僕をこれ以上見てほしくなかったからだ。
手が、足が、指さえも動かない。そんな状況の中、自分の体が急に変化し始めた。それはたぶん、僕にしかわからない変化なんだろう。彼女も医者も気づいている様子はなかった。僕の中心に種が植えられ、そこから根が生えていくような、そしてその根がどんどんと拡がっていくような、そんな感じがした。
その根は僕の体を動かそうとしているのがわかった。
まず、指が動くようになり、それから右手が動くようになった。左手、足、声も出るようになった。初めて発した言葉は彼女への感謝の気持ちだった。
そして、入院から1週間目、あれはいったい何だったんだろうと思えるほど、僕の体は元に戻っていった。
彼女は涙ぐみ、そして僕を抱きしめてくれた。