domino
16
自宅まであと少しという所で、僕はビールを買い忘れている事に気がついた。僕の家の近所にはコンビニがなかった。来た道を引き返し、僕はもう一度コンビニに向かった。
 そんな事をしていたから、自宅に帰るのはずいぶん遅くなってしまった。ビールを片手に、玄関の扉を開けると留守番電話のボタンが点滅していた。
 友達や親は僕の携帯にいつも連絡してきた。特に使う事がなかったけど、一人暮らしをするのだったら必要だという、親の言葉そのままに契約してしまった固定電話。かかってくる電話といえば、勧誘の電話ばかりだった。
 「勧誘の電話が留守電に入れる訳がないしな。」
 そんな思いが頭に浮かんだ時、僕は淡い期待を抱いている事に気がついた。
 「もしかしたら、彼女から電話が・・・さっきの事で・・・。」
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