TEARS【~君色涙~】
「もうすぐバレンタインだね~」
かじかんで冷たくなった手先を、白い息をはいて温めていると
ユカリが持っていた雑誌の特集を指差して言った。
“バレンタイン”
そのワードに、横で一緒に雑誌を眺めていたみーちゃんが大きな溜め息をつく。
「あぁ、もうそんな時期?月日が経つのってほんと早いわ」
「みー…アンタ、その発言中学生とは思えない(笑)」
「だってもう2月だよ?
ついこないだ中学入ったばっかだと思ったのに」
二人の会話に耳を傾けつつ、私はふと窓の外を見つめた。
「……」
今ではもう見慣れた教室からの景色も、この時期はどこか寂しげに映って…
辺りの緑はすっかり色を消し、ツンとした寒さが本格的な冬を感じさせていた。