TEARS【~君色涙~】
「ご、ごめん隼人」

「いや、いーけど。どした?ぼーっとして。何かあったのか?」

「え?ううん。なんもないよ」

「ならいいけど。何か困ったことあんなら、俺に相談していいからな」

「…うん、ありがと」



トクン



隼人……。


あの日。


隼人の前で大泣きした夏の日から

何かと隼人は私の事を気にかけてくれている気がする。


多分きっと私が先輩のことで泣いてばかりいたから、気を遣ってくれてるんだよね。

だから隼人の前では極力先輩の話はしないようにって、できるだけ笑顔も心掛けるようになった。



“栗原の泣いてる顔、あんま見たくねーから…”



でも決して、無理をしているわけじゃなくて。


あの日聞いた隼人の言葉が、不思議と今も私の原動力になっていたんだ。
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