TEARS【~君色涙~】
「じゃ、じゃああの子には!?」

「あの子?」

「前ラブレターくれた女の子にはなんて返事したの?」


前に一度、ちゃんと断っている事は本人から聞いているのに

それでもしつこくその話を再び掘り返してきた私に対して、隼人は少し困ったように頭をかいたんだ。



「こないだも言ったけど、はっきり断ったよ。
あの日ちょうど俺の隣にいた女の子が好きだから、つって」



考えてもみなかった隼人の返事に、じわじわと頬が熱くなってくる。

ひとり顔を真っ赤にさせていると
隼人がヤレヤレと言うような大きなため息をついてきた。


「俺が告白されてるとこ見てたんだな。
大体、栗原もそういう時に限ってタイミングよくその場に居合わせるなよ」

「しょ、しょうがないじゃん!私だって別に見たくて見たわけじゃ…」


しかもそのせいで、ここ最近はずっと大好きなご飯すらノドを通らなかったのに!!



「い、いつから?」

「いつから?(つか、すげー質問攻めだな…)」

「隼人はいつから私のこと好きになってくれたの?」



まさか隼人が私のこと好きに思ってくれていたなんて考えもしていなかったから。

次から次へと聞きたいことがたくさん出てきてしまう。


だから一人で何度も質問を繰り返してくる私に、
隼人はちょっと押され気味ながらも、どこか記憶をたどるように上の方を向いて答えてくれた。



「…たしか去年の夏?くらいから」



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