TEARS【~君色涙~】
「来てるも何も優衣ならここにいるけど」

「あ」


ユカリの言葉でこっちに気がついた様子の隼人と目が合う。


「おはよ、栗原」

「!お、おはよう隼人」

「どした?なんか眠そうじゃね?あんま寝れなかったのか?」


隼人の問いに、私はコク…と頷いた。

優しい、太陽みたいな眼差しで見つめられ、がらにもなくモジモジしてしまう。


そんな私達の様子を目の当たりにしてなのか、どこかパニクったように視線を動かしてくるのはユカリ。


「え、え、え?何この雰囲気?てか二人ともガチなの?付き合ってんの?」

「付き合ってるよ。つか、俺から告白した」

「!?!?」


少しもためらうことなく、私達が付き合い始めたことをあっさり認めてみせた隼人に
ユカリはムンクの叫びかのような反応をしていた。


まぁ、無理もないよね…。

今まで全くそんなそぶりもなくて、私自身もまだ信じられないのに。


でも隼人が否定せず、ちゃんと受け答えしてくれたことが、嬉しかった。



ようやく心がほくほくしかけていたところに、それを一瞬で冷ますような事情を聞かされてしまう。



「それでさ栗原。放課後なんだけど、今日からしばらく部活で遅くなるから一緒に帰れない」

「え…」

「だから栗原は先帰ってて」

「……うん、わかった」


思ってもみなかった隼人の言葉。

内心は物凄くガッカリでも、仕方のないことなので渋々了承する。


そっか、しばらく一緒に帰れないのかぁ。

せっかく付き合えるようになったのにな…


昨日の帰りがすごく楽しかっただけに残念に思ってしまう。


思わずシュンとなっていると

そんな私を気遣ってくれてなのか、隼人がこう言ったんだ。



「夜、電話するから」

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