TEARS【~君色涙~】
息を切らしながら通学路の道を急ぐ。


ふと見上げると並木通りの空は散り始めの桜吹雪が一瞬にして舞い…

その光景に思わず目を細めたとき、
視線の先で、私の少し前を走っている隼人の姿を見つけた。


「……」


内心、躊躇しながらも
思いきって足を更に進めた私は、隼人に近づく。


「…おはよ」

「!……はよ」


いきなり声をかけてきた私に、ちょっとびっくりした様子の隼人。


「……」


それっきりは、お互いとも何故か無言で。

しばらく前を向いたまま並走を続けていると、隼人が口を開いた。
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