TEARS【~君色涙~】
頭にクエスチョンが飛んで浮かびながらも

とにかく隼人と二人きりで会えるのが嬉しくて。

そんな疑問はとうにどうでも良くなってしまった。


時計が9時をまわるちょっと前。

ふいに両肩を触ってきた隼人に、上からジッと見下ろされる。


「……」




もしかしてキス?かな…


空気を読んだつもりで、一人ドキドキしながら目を閉じてみたら


…チュッ、と


たった一瞬
ほんの軽く触れるだけの短いキスをされた。


え……


昨日されたようなキスを想像してた私は思わず拍子抜け。


ぱちくりと目を開く私をよそに、あっさり「じゃ、また明日」とだけ呟くと、心なしかそそくさと帰っていってしまった隼人。


しばらくそんな隼人をぼんやり見送っていたあと、私はちょっとだけふてくされたかのように
地面に落ちていた石ころを転がしたんだ。



「…ちぇっ」



昨日してくれたみたいな長いキス、期待してたのにな……。


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