TEARS【~君色涙~】
お昼休み、私はユカリと学校の屋上にやって来ていた。


最近買ったばかりの小さなお弁当箱を膝に置いて蓋を開けると、ユカリが中を覗き込んでくる。


「ねぇ優衣。今日もお昼そんだけ?7限まで持たなくない?」

「うん…。でも今年の夏休みは隼人と海とかプール行く約束したから、ダイエットしなきゃと思って」


ついでに腹筋背筋、腕立て伏せまで始めてみた。

ちなみに効果のほどは、まだない。


「えっ、じゃあ水着着んの?それってもしかして隼人から誘ってきたりした?」

「? 私からだよ?」

「なーんだ、てっきり隼人のやつ鼻の下伸ばしながら誘ってきたんだと思ったのに。優衣ってば案外肉食だね~」

「……」


肉食…?

焼肉は好きだけども。


「まぁ付き合いたてだし、浮かれるのも分かるけど、夏休みの前にまず期末試験があるんだからね!そこんとこ分かってる?」

「うっ…」


ユカリに痛いところを突かれ、私のHPが減少する。


そ、そうだった。

7月には期末テスト…


それを痛感したとき私はハタ、とあることに気がつく


(…そういえば)



7月といえば隼人の…誕生日だ。

とっさにポケットから手帳を取り出し
慌ててカレンダーをめくれば、隼人の誕生日まであと数週間しかない。


(しまった、何あげるか決めてない…)


どうしようかと悩みながら、私はふと屋上から広がる空を見上げた。


「……」



去年は「おめでとう」しか言えなかったから


今年は“隼人の欲しいもの”あげたいな……


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