TEARS【~君色涙~】
そう思った私は参考程度に、今も隣でパンを頬張るユカリに聞いてみることにした。


「ねぇユカリ」

「んん?」

「男の人って彼女にどんな誕生日プレゼントもらったら嬉しいと思う?」

「あ、隼人にあげるの?」


あっさりバレてしまい、私は正直にうなずき返す。


「うーん、隼人には安いお菓子で十分だと思うけどね。
まぁ付き合ってんだしこの際、プレゼントは私♪とかにしちゃえば?古典的だけど。
プレゼント選びもしなくていいし一石二鳥!隼人のやつ鼻血でも出したりして(笑)」

「?」

「あれ?もしかして優衣、私の言ってる意味わかんない?」


その言葉に、私はもう一度うなずき返した。

すると今度は身を乗り出したユカリがこう耳打ちしてきたんだ。


「…ねぇぶっちゃけ優衣たちって、どこまでしたの?」

「どこまでって?」

「ハグした?」

「…した」

「キスは?」

「…し、したよ?」

「その先は?」

「その先?」


まるでオウム返しのように同じ言葉を繰り返す私に、何やらユカリがハァ~っと大きな溜め息をついてきた。


「なーんだ、てっきり優衣ってば肉食系なのかと。無自覚って罪だわ。隼人のやつ、毎晩もだえてそ~」

「?もだえ?」

「まぁいいや。しばらくはウブな二人で居たほうがいいんじゃない?てか、居たほうがいいと思うよ」


可愛く片目を閉じてみせながら、語尾に(はぁと)をつけてみせたユカリ。

私がしばらくポカンとしていると、掴んでいた箸からポロっとご飯がこぼれ落ちた。


「……」


??

…さっきから何を言ってるんだろう、ユカリってば。
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