TEARS【~君色涙~】
「…栗原、もしかして寝坊か?」

「隼人こそ。思いっきり寝坊したんでしょ」


お互い急ぐ足を緩めることなく

今も走って揺れている隼人の髪は、寝癖が少し残ってる。


「…あのさ」

「なに?」

「あ、いや、やっぱいい」

「え、なにその言いかけといて止める的なの…」

「いや、今何か言おうと思ってたんだけどさ、忘れた」

「……」


なにそれ…。
隼人ってば寝ぼけてんじゃないの?

まぁいいや、別にどうでも。


何だかよく分からない隼人に呆れ返りながらも、
とにかく先を急いでいた私達はお互い並んで学校を目指した。
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