TEARS【~君色涙~】
その夜。


今日も部活を終えてすぐ会いに来てくれた様子の隼人。


いつものように立って話をするのではなく、この日は近くの公園で話をすることにした。


灯りが照らすベンチで、隼人と二人きり。

周りには誰もいない。


ついドキドキしながら隣をうかがうと、隼人は持っていた水筒でお茶を飲んでいた。


「……」


どうしよ。

誕生日プレゼントなにが欲しいか、聞いてみようかな。


「…ね、ねぇ隼人」

「ん?」

「もうすぐで隼人の誕生日だね!」

「…あぁ、そういや…」

「何が欲しい?」

「……」


私の率直な質問に、隼人はなぜか黙りこんでしまった。

あ、もしかして直接聞いちゃまずかったかな。


とっさの沈黙が気まずくて、あわてて話題を引き出そうとする。


「何あげたらいいか、ユカリに相談してみたらね、“プレゼントは私”にすればって言われたんだけど、何かよく意味わかんないよね」


笑ってもらう気で言ったつもりが、再び水筒に口をつけかけた様子の隼人が、なぜか盛大にお茶を噴き出した。


目の前では「ケホッ、ケホッ」とむせかえる隼人。


私は一人ポカンと口を開ける。


え?

私、何かおかしなこと聞いた?
< 210 / 440 >

この作品をシェア

pagetop