TEARS【~君色涙~】
「ごめん隼人、大丈夫?」


あまりにも苦しそうなので、見かねた私は隼人の背中をさすった。

でも隼人の表情は分からない。


「ないなら別にいいんだ。ちゃんと自分で考えるし…」

「いや、栗原でいい」

「え…?」

「俺の誕生日プレゼント、栗原でいいよ」


覗き込んだ拍子から、この時ようやく顔をあげた隼人と至近距離で目が合う。


吸い込まれるようなその瞳に

一瞬時が、止まったような気がした。
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