TEARS【~君色涙~】
心の準備もしてなかったせいか
すぐに息が苦しくなってしまい、とっさに隼人の制服の裾をクイと引っ張る。

そんな私に隼人はいったん唇を離してくれたかと思うと、向きを変えては何度も長いキスをしてくれたんだ。


心の中が一気に満たされていく。




公園を出たあと家の前まで送ってもらい、この日は私がドアを開けて中に入るところまで、隼人は見届けてくれた。


隙間からしだいに見えなくなっていく隼人の姿に手を振り、パタンと閉じたドアの壁に背中ごと持たれかかる。

そしてガッツを入れるように両手を握りしめた。


「……」


隼人の誕生日まであと数週間

料理の練習がんばるぞ!!



この日から隼人の誕生日までの約数週間、テスト勉強もそこそこに、合間を縫っては料理の猛練習を始めた。

わからないことはお母さんからアドバイスをもらいつつ、ルックパッドや料理サイト、家にあった料理本を読みあさっては、試行錯誤の日々。


急いで学校から帰ったあとは、
スーパーへ買い出しに行ってすぐ夕飯の支度をし、残ったおかずは明日のお弁当にいれて、失敗作は全部お父さんの分にまわした(お父さん、ごめん)


そんな家族の協力もあってか、当日を向かえる頃には何とか人様の前にも出せそうな出来映えになった、ような気がする。多分。


そして明日はついに隼人の誕生日。


0時ちょうどにラインを送れるよう、誕生日メッセージをあらかじめ打ち込みながら

わたしはふと、部屋の窓から夜空を見上げた。


「……」



明日、晴れるといいな………。


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