TEARS【~君色涙~】
そんな願いも込めつつ、バシャバシャという水の音で目が覚めた早朝。


当日はなんと、雨。


待ち合わせの11時前。

駅の改札口で、手作りのお弁当を入れた保冷バッグと買ったばかりのケーキの箱を抱えたまま、私はひとり呆然と立ち尽くしていた。


(雨、止みそうにないな…天気予報では1日雨だって言ってたし)


うう、髪も湿気でうねっちゃってるし

せっかくオシャレしてワンピースも着てきたのに……。



「雨降っちまったな。まぁ、まだ梅雨あけてねーし、しょうがねーか」


そんな胸中の最中、意外にもあっさりした様子で現れた隼人を、私はまさに梅雨のようなジトッとした目で見る。


「隼人ってば、晴れ男じゃなかったの?(去年は晴れたのに)」

「は?」

「なんでもない…」


あぁ…楽しみにしてたピクニック。

隼人との初デートが雨で台無しに……。


お弁当もせっかく頑張って作ってきたのにな……。



すっかり肩を落としてヘコむ私に、隼人がヤレヤレと言った様子で頭の裏をかく。

そして涙目になる私の顔を覗きこんできたかと思うと、こう言ってきたんだ。



「…多分今日1日ずっと雨だろうしさ、栗原が嫌じゃねーならだけど、俺んち来る?」

< 214 / 440 >

この作品をシェア

pagetop