TEARS【~君色涙~】
台風の夜
数日後、予選を通過した隼人の部活は全国大会に出場するため、地方へと遠征に出て行った。
こっちに戻って来られるのは30日の夜。
――その日は近くの神社で夏祭りがある。
二人でどこにも遊びに行けなかった今年の夏、お祭りだけは隼人と一緒に行こうと約束した。
もしも途中で敗退すれば、予定よりも早く帰ってこられるとは言っていたけど…
(それでも毎日練習がんばってたし、やっぱり最後まで勝ってほしいよね…)
内心複雑ながらも今日の初戦結果を気にしていた夕暮れ時、スマホが鳴った。
着信元は隼人。
私はおそるおそる画面を耳に当ててみる。
『…も、もしもし』
『あ、もしもし優衣?俺だけど…』
『うん。今日の試合どうだった?』
『勝ったよ。1回戦目』
『か、勝ったんだ。すごいじゃん隼人、おめでとう!』
正直、最初はいっそ早めに帰ってきてくれたらなぁなんて
しょうもない期待をしてしまったりしたけど
いざ本人から勝ちの報告を聞いたら、素直にその言葉が出てきた。
手放しで喜ぶ私に、電話越しでは「うん…」とどこか言葉少な目に返す隼人。
『隼人?』
『……』
一体どうしたのかと心配する私に、隼人はためらいがちにもこう答えてきた。
『けど…すごいのは俺じゃなくて、広瀬先輩』
こっちに戻って来られるのは30日の夜。
――その日は近くの神社で夏祭りがある。
二人でどこにも遊びに行けなかった今年の夏、お祭りだけは隼人と一緒に行こうと約束した。
もしも途中で敗退すれば、予定よりも早く帰ってこられるとは言っていたけど…
(それでも毎日練習がんばってたし、やっぱり最後まで勝ってほしいよね…)
内心複雑ながらも今日の初戦結果を気にしていた夕暮れ時、スマホが鳴った。
着信元は隼人。
私はおそるおそる画面を耳に当ててみる。
『…も、もしもし』
『あ、もしもし優衣?俺だけど…』
『うん。今日の試合どうだった?』
『勝ったよ。1回戦目』
『か、勝ったんだ。すごいじゃん隼人、おめでとう!』
正直、最初はいっそ早めに帰ってきてくれたらなぁなんて
しょうもない期待をしてしまったりしたけど
いざ本人から勝ちの報告を聞いたら、素直にその言葉が出てきた。
手放しで喜ぶ私に、電話越しでは「うん…」とどこか言葉少な目に返す隼人。
『隼人?』
『……』
一体どうしたのかと心配する私に、隼人はためらいがちにもこう答えてきた。
『けど…すごいのは俺じゃなくて、広瀬先輩』