TEARS【~君色涙~】
まさか。

まさか。


まさかあの広瀬先輩に――彼女が居なかった。


ということは、今誰とも付き合ってないって事?

私にもまだ可能性は残ってる?


「いやぁ、でも、う~ん……」


けどそれじゃあ何で、昨日は紹介を断られたんだろう。

年下は好みじゃないとか?
もしや恋愛に興味がなかったりして(先輩、サッカーひとすじっぽいし)

それとも他に、好きな人がいるとか……


「優衣ってば、さっきから何やってんの?」


授業中も、ひたすら頭の中がもやもやとして。

休み時間になっても一人机の上でうなだれていると
ユカリ達が不思議そうに声をかけてきた。


「だって、隼人ってば肝心なこと言いかけて終わるんだもん……」

「??何かよく分かんないけど、それより次の2限移動だって。早く行こ!」


そういえば次の授業、教室移動だっけ…


隼人の言っていた事は相変わらず気にはなるものの
ユカリに手を引かれるまま、私も教室をあとにする。
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