TEARS【~君色涙~】
学校を出て、弟の待つ幼稚園へ訪れた私は、近くに居た女の人に声をかける。


「すみません…あの私、栗原優太の姉の者ですが。優太いますか?」

「優太くんのお姉さんですね。
お母様からお話は伺ってます。今、優太くん呼んできますね」


パタパタとお姉さんの先生が呼びに行っているのを待つ間、
私はこっそり玄関から園内の様子を覗いてみる。




「優衣姉ちゃーん!」


しばらくして私の姿を見つけるやいなや、タタタッと駆け出して抱きつく優太。

私はそんな優太を抱きしめ返すと、よしよしと頭を撫でて笑った。


「帰ろっか」

「うん!」
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