TEARS【~君色涙~】
あれから数週間が過ぎた。

とある日の放課後。


窓から見える校庭では続々と帰り支度を始めている運動部の様子が目に映る中

私は一人、放課後の教室で佇んでいた。


というよりもーー帰れなかった。


ついさっきまで担任の先生に呼び出されて、この先の進路や自身の成績のことについて散々言われたからだ。


そんな私の手元には、ついこの間行われた中間試験全教科の点数が書かれた1枚の細長い紙。


「……」


1学期の中間テストの結果は、ほとんど良くなかった。

というか、かなり悪かった。


私なりに頑張らなかったわけじゃない。


ただそれでも、自分で頑張った量に対して、時間と実力が伴わないのだ。


でもそれは今まで恋愛や私事にかまけていたからであって

きっと私が恋愛のことで悩んだり、私生活で遊んでいる間も

今結果を出している人たちは多分、影で頑張ってきたからだ。


それはきっと隼人だって……


去年の夏、私にひどい別れ方をされても、そこで立ち止まることなく

ただがむしゃらに勉強を頑張ってきたんじゃないかと思う。


もしもあの時、広瀬先輩のことを断ち切って、隼人と付き合ったままで居られたら。

多分きっと、今とは違う現実を見ていたんじゃないのかな…。


「…って、なに今さらこんなこと考えてんだろ…」


後悔してもしょうがないじゃん、とひたすら途方に暮れていたとき

突然ガラッと教室の扉が開いて、自分の肩がビクッと反応する。



「…優衣?」


びっくりして振り返ると、部活を終えたばかりなのか、荷物を取りに来た様子の隼人がいた。
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