TEARS【~君色涙~】
“ちょっ、――加奈子!?大丈夫?”
玄関から現れた人。
それは紛れもなく…
今日私たちと廊下で偶然すれ違った、“加奈子”と呼ばれていたあの女の子だった。
私が遠くでこの光景を目にしていることも知らずに、
今も先輩はずっと加奈子さんを見つめてる。
でもその視線の先にいる加奈子さんは、そんな広瀬先輩の存在に気付くどころか
むしろ避けるようにして、そそくさと学校を後にして行ってしまったんだ。