TEARS【~君色涙~】
マヤさんはこの後予定があるのと、私も帰ってテスト勉強しなければならないため、出たお店のすぐ側でお別れすることにした。
「あの、今日は助けて頂いてありがとうございました。なのに飲み物までごちそうになってしまって…」
「いいのいいの。ぶっちゃけ本は社割でちょっと安く買えるから(笑)」
深々と頭を下げる私に、別れ際まで気さくなマヤさん。
さよならするのが少し寂しくなって、私はとっさに話しをつなげようとする。
「マヤさんのバイト先って、あそこの本屋さんだったんですね」
「意外でしょ?周りからはよく遊んでそうって思われるみたいなんだけどね~。こう見えて実は結構まじめなの」
と、どこか茶目っ気たっぷりに言うマヤさんにつられてか、思わずふふっと吹き出してしまった。
そのままクスクスと笑っていたら、マヤさんが隼人そっくりの眼差しを向ける。
「優衣ちゃんも、一年前会ったときに比べてずいぶん大人っぽくなったね」
「え!ほ、ほんとですか?」
「ほんとほんと。表情とか顔つきとかも含めてね。今の中学生ってこんなしっかりしてるんだーってびっくりしちゃった」
え…そうなのかな?
そう言ってもらえても自分じゃよく分からない。
むしろ隼人と比べたら全然なんじゃ…
するとそんな私の考えてることが筒抜けだったのか、マヤさんは去り際にこう言い残してくれた。
「自分で自分のことを客観視するのは難しいからね。
でも優衣ちゃんが思ってるよりもずっと、実は皆と同じように成長しているはずだから、そんなに焦らなくても平気だよ」
ヒールの音を鳴らしながら、待ち合わせ場所へと駆けて行くマヤさん。
その後ろ姿を、私は最後まで手を振って見送りつつ…途中マヤさんに近寄る男性に目が行く。
あ、もしかして約束してるのってあの人かな…
ふとそう思った瞬間、マヤさんに話しかけたその男の人の顔を見て私はギョッとする。
「――!」
よ、吉川先生!?
「あの、今日は助けて頂いてありがとうございました。なのに飲み物までごちそうになってしまって…」
「いいのいいの。ぶっちゃけ本は社割でちょっと安く買えるから(笑)」
深々と頭を下げる私に、別れ際まで気さくなマヤさん。
さよならするのが少し寂しくなって、私はとっさに話しをつなげようとする。
「マヤさんのバイト先って、あそこの本屋さんだったんですね」
「意外でしょ?周りからはよく遊んでそうって思われるみたいなんだけどね~。こう見えて実は結構まじめなの」
と、どこか茶目っ気たっぷりに言うマヤさんにつられてか、思わずふふっと吹き出してしまった。
そのままクスクスと笑っていたら、マヤさんが隼人そっくりの眼差しを向ける。
「優衣ちゃんも、一年前会ったときに比べてずいぶん大人っぽくなったね」
「え!ほ、ほんとですか?」
「ほんとほんと。表情とか顔つきとかも含めてね。今の中学生ってこんなしっかりしてるんだーってびっくりしちゃった」
え…そうなのかな?
そう言ってもらえても自分じゃよく分からない。
むしろ隼人と比べたら全然なんじゃ…
するとそんな私の考えてることが筒抜けだったのか、マヤさんは去り際にこう言い残してくれた。
「自分で自分のことを客観視するのは難しいからね。
でも優衣ちゃんが思ってるよりもずっと、実は皆と同じように成長しているはずだから、そんなに焦らなくても平気だよ」
ヒールの音を鳴らしながら、待ち合わせ場所へと駆けて行くマヤさん。
その後ろ姿を、私は最後まで手を振って見送りつつ…途中マヤさんに近寄る男性に目が行く。
あ、もしかして約束してるのってあの人かな…
ふとそう思った瞬間、マヤさんに話しかけたその男の人の顔を見て私はギョッとする。
「――!」
よ、吉川先生!?