TEARS【~君色涙~】
「…見る目がないっていうより隼人の目が良すぎるんだよ」

「かもな。俺の視力両目とも2.0だし」


パキッと割り箸の割れる、小気味の良い音がした。


いやあの、そういう意味で言ったんじゃないけど…っていうか目良すぎ(ほんとに地球人?)

ある意味羨ましい…なんてしばらくジッと食べている姿を見ていたら、隼人が口に運ぶ手を止めてきた。


「優衣も食う?」

「え、いいよ…隼人お腹すいてたんでしょ」

「優衣こそ泣いて腹へったろ。口開けてみ」

「……」


まだ白い湯気も出ている、ここからでも美味しそうな匂いがする焼きそば。

それを箸先ですくった隼人が近付けてきて、口を開けてみる。


「うまい?」

「…おいひい」


熱々のソース味が口いっぱいに広がって、うまく喋れない。

美味しいけどこれって間接キスなんじゃ…


そう言いたげな視線を送るも隼人は気にしていない様子。

モゴモゴと頬袋が膨らむ私を見て笑っていた。


…変なの。
さっきまでちょっとしんみりしてたのに元気になってしまった。

焼きそばのおかげかな。

…ううん。


「はは、おいひいって(笑)」

「……」


隼人が一緒にいてくれるから、そう思えるんだ。
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