TEARS【~君色涙~】
「おはよー優衣!おとといは花火楽しかったねぇ!」
約1か月ぶりの学校。
気持ち新たに教室の扉を開けると、先に来ていた様子のユカリが駆け寄ってきた。
ポンと肩へ置かれた手に、私はその場で立ち止まって振りかえる。
「あ、おはようユカリ。夜は帰り平気だった?」
「平気平気。実はあのあと親が車でわざわざ迎えに来てさぁ。大丈夫だっつってんのに。ほんと過保護だよね」
親の心子知らず。
まさにそんな言葉が浮かんだように、口を尖らせるユカリ。
親からの干渉が、妙にうっとうしく感じてしまうお年頃。
そういえばうちの親も、あの日私の携帯が繋がらなかったせいか夜の11時過ぎてようやく帰ってきたとき、家の外まで出て心配してたっけ……
一応遅くなるとは言ってあったけど、あそこまで心配かけるとは思わなかった。
それに、あの夜は………
と、そう思いかけてふいにキョロ…と周囲を見回した私に、ユカリがさも当たり前のようにこう言った。
「隼人なら、もうすぐ来るんじゃない?」