TEARS【~君色涙~】
(そ、そうだった…。私ってば隼人に送ってもらえたことに浮かれて、藤原さんのことなんて全く眼中になかったよ…)



こうしている今も、向こうでは隼人に藤原さんが必要以上に接近しようとしていて、

ひとりヤキモキしていたら
そんな私に気づいたのか、まるで親の敵を取るかのごとく睨み付けられた。


怯えを隠せない私に、ユカリが心配してくる。



「ねぇ大丈夫なの?優衣…もたもたしてたら隼人取られちゃうよ…?」

「…っわかってる」

「……」

「負けないもん」



負けない。

隼人を想うこの気持ちだけは絶対、誰にも負けないから……






この日、始業式を終えたあとはクラスでホームルーム。

帰る前に2学期の委員会決めを行なっていた。


運よくジャンケンで勝った私は保健委員に。



その後も着々と他の委員が決まっていった。


そして今議題に上がっているのは…体育委員。


今月の終わりに運動会があるため、
男女各一名ずつその委員を誰が引き受けるのかをちょうど決めようとしているところだった。



体育委員かぁ…


体を動かすのは好きだし、中学最後の運動会なだけあって思い入れはもちろんあるけど

委員になったら放課後残ったり、色々と準備したりしなきゃで、それはあまりやりたくないのが本音…


そう考えるのは皆同じなのか、なかなか挙手のない空気の中


しばらくして、ふいにスッと誰かの手が挙がったかと思うと、体育委員に自ら立候補したのは隼人。
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