TEARS【~君色涙~】
えっ……


「はーい。なら女子の体育委員は私やりまーす」


まさか隼人が名乗り出るとは思わず気を取られていたら、あの藤原さんもすかさず立候補してきた。


ふ、藤原さんも!?


いきなりの急展開に大パニック。

だけど他に候補者も居なかったため、体育委員は隼人と藤原さんのペアですんなりと決まってしまった。


目を疑わずにはいられない私の後ろで、ユカリがヒソ…と声を潜める。


「ね、ねえ優衣…。これってちょっとマズいんじゃあ…」

「……」


ユカリの言う言葉も今は聞こえず、カツカツと黒板に書き足されていく二人の名前に、ただただ茫然としているしか出来なかったんだ。






「――隼人!」


気付けば終礼後、私はとっさに隼人を呼び止めていた。

他のクラスメイトは皆ぞろぞろと教室から出ていく中、一人足を止めた様子の隼人が振り返る。
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